第1章【25】自分の価値観を確認する

自分の価値観を確認する

 

中学生の時は、「すべてのことに一生懸命に取り組む」ことが重要だということを教えられてきた人も多いのではないでしょうか。

 

実際に、高校入試の合格判定方法を見ても、日本全国どの都道府県立高校でも、私立高校でも、その多くは「内申書」が非常に重要視されます。

「内申点」をアップさせるには、英語、数学、社会、理科、国語だけでなく、体育など実技教科もすべてに関して、成績を上げなければなりません。

提出物も出さなくてはいけないし、授業態度も評価基準になる。

成績のほか、生徒会活動や部活動などの活動も内申書の評価につながるわけです。

 

この本では、それがいいとか悪いとかは触れませんが、とにかく「すべてのことに一生懸命に取り組む」ことが重要だという考えが染みついたまま、多くの人が高校に入学します。

そして、高校でも同じように「すべてのことに一生懸命に取り組む」ことが当然のように考えてしまいがちなのです。

しかし、高校では「すべてのことに一生懸命に取り組もう」とすると、すべてが中途半端になってしまうのです。勉強一つとっても。

スポーツについては、もっと激しい。同年代の人たちが、サッカーであれば、Jリーグで活躍している人もいるし、野球であれば、甲子園で優勝する人もいるし、ドラフト候補と騒がれる人もいる。すでに、オリンピックに出場している人もいるのです。当然のことながら、そう言った人は、日々、練習や競技のことばかり考えているはずです。そうでなければ、結果を出せないからです。

 

そうなんです。高校以降は、「すべてのことに一生懸命に取り組もう」とすると、すべてが中途半端になってしまうのです。つまり、何も残らなくなってしまう。

自分がやるべきことやりたいことをできるだけ絞って、それを究めることが重要なのです。

 

このようなことでも、ちょっと考えれば当然だとわかるでしょう。

大学で研究するにしても、一つの研究分野に絞ってそれを究めているのです。どこかの会社に就職するのでも同じ。自分の担当部署で、自分に与えられた仕事に集中して仕事をするのが普通です。

医者や弁護士といった専門職でも同じ。医者の場合、眼科専門だったり口腔外科だったり。弁護士にしろ、公認会計士にしろ、それぞれ自分が得意な分野を中心に仕事をしている人がほとんどです。

「目の前のことを全部頑張る」ということが評価される中学生までの考え方の方が特殊なのです。

 

中学卒業から、高校にかけて、この切り替えがうまくできない人、というか、そういう変化に向き合っていない人が実は多いんです。そして、なんとなく、中学からの「すべてのことに一生懸命に取り組むことが重要なんだ」という発想のまま高校生活を過ごして、高校を卒業する段階になって初めて現実に気づくわけです。

 

もちろん「全てのことに対し一生懸命に頑張る」という時期も確かに必要です。

ある程度一通りのことを一生懸命に頑張らないと、自分の価値観も見いだせないからです。

中学の時には、とにかく勉強の場合は全科目、そして、部活動、生徒会活動、文化祭など、全てのことに対して頑張って来ました。

そんな中で、高校生以降は、自分の価値観を確認することが重要なのです。

自分の価値観とは、自分にとって何が大事で、何が大事ではないかという判断のことです。

つまり、全部のことに対して頑張るのではなく、自分にとって大事ではないものには、時間を費やさず、大事なものに集中していくのです。

自分の人生は、自分が経験し、自分が体験することです。

その経験や体験の内容は、自分の行動によって決まります。

目標や目的を明確化することで、自然と大学受験に対する取り組み方が変わってきて、勉強に関心が向かなかったり、テストが終わったらすぐ忘れたりというような勉強の仕方もしなくなるでしょう。

大学受験に必要なことに絞って勉強する決心がつくのです。

そうなればブレずに、大学合格という結果を出すことに向けて頑張れるようになるのです。

 

高校の先生が中学校の先生になったり、中学の先生が高校の先生になったり、中学高校間の交流は意外と多いのです。

だから、高校の先生にも「目の前のすべてのことを頑張る」といった中学生的発想をつい持ってしまうような先生も出現してしまうのです。

あまり深く考えずに周りの流れにのまれていくと、宿題が出ると宿題をこなし、小テストがあると小テストで点が取れるように勉強し、定期テストが近づいてくると定期テストの全教科で得点アップできるようにテスト勉強をし・・・・・・。「文武両道が望ましい」という言葉をやみくもに信じて、部活動でも懸命に頑張る。そして、高三になって気づいたときは、残っているのは高校生活の思い出だけ。そんな人が意外に多いのです。

 

そんな中でも、「高校からの発想の切り替え、変化」にいち早く気づき、自分の目標を明確化し、それに基づいた大学の選択をし、当面の目標である、第一志望大学合格に向けてやるべきことに集中していく受験生も存在するのです。そうすることが、将来の自分の経験や体験の質を高めるということを強く感じているからです。

たとえば、医者になりたいという考えがあるならば、医学部に入学しなければ医者になれません。そうすると、今、最優先すべきことが見えてくるはずです。

 

そういう決断をした人は多くいます。

東京大学や医学部に合格した多くの人たちは、「やりたいこと」を我慢し、「今、自分がやるべきこと」をやってきて、合格を勝ち取っているのです。

 

難関大学合格者はそういう人が実際に多いのに、学校では、なぜか「文武両道」を称賛し、「部活動を高三の九月までやっていて、部長でもあって、学校の成績も良かった人が東大に合格した」というような例外的な人を例にあげ、「みなさんも、そういう人を目指しなさい」と現実離れしたことを言うから、ますます混乱するのです。

 

受験勉強を第一優先し、気晴らしにサッカーをやるとか、水泳をやるとか、そういった意味で勉強とスポーツの両方をやるということであれば、受験勉強にもいい影響を与えます。

逆に、オリンピックであるとか、甲子園を目指してスポーツに集中するけど、その合間に、英語も勉強していくとかということであるなら、両方をやることが望ましいでしょう。

勉強もスポーツも両方とも同じように頑張るのではなく、どちらかに優先順位をつけてやっていく方が現実的なのです。そうでないと結果を出せない。

結果を出してきた多くの人は、「やりたいこと」を我慢し、「今、自分がやるべきこと」に絞って集中して行動し、合格を勝ち取っているのです。

安易に「文武両道」というキャッチフレーズに惑わされないことが重要です。

そこでも、自分でよく考えることをしない人ほど、そういったキャッチフレーズに惑わされて、自分には何にも残らなくなる。自分でよく考えて、常に優先順位を考え、優先順位の高いものを集中的に行っていく。これが、結果を出すためには必要不可欠なことなのです。

大人の言う「きれいごと」と、「本当のこと」の見極め。

そして、大人の言う「表」と、その「裏」の判断は、高校生である以上、自分自身が行わなければなりません。

「大人も自分に都合のいいことも結構言うよね」そういったことを思ったことがあるなら、自分の判断を大切にすることです。人のせいにしても何も残りません。周囲の人も、都合の悪いことは、きれいさっぱり忘れてしまっています。もう、中学生ではないのです。

大学生になってからも、社会に出てからも同じ。

「自分でよく考える」ことが重要なのです。

もちろん、自分でよく考えて、それに向かって一生懸命に努力しても必ず結果が出るとは限りません。しかし自分のたてた目標に向かって最大限の行動をした場合、結果がどうであれ、必ず、次のステップの糧になることは間違いありません。

自分の人生です。自分で目標ややるべきことに気づき、それを自分の判断で実行していくことが必要だと思いませんか?

 

もちろん、そのプロセスで、友人や、先輩や、学校の先生や、親や、兄弟などの様々なアドバイスをもらうこともあるかもしれません。

しかし、自分の目標に向けてのブレのない考えがあってこそ、そういったアドバイスも役に立つのです。同時に、そのアドバイスをくれた相手に対しても感謝の気持ちを素直に示せるのです。

自分がぶれブレで、あまり深く考えもせずに周囲に相談しても、自分に都合のいいことをかいつまんでいこうとしてしまい、結局、何も残らないのです。自分のためにアドバイスしてくれた相手に対しても感謝の気持ちも生まれないでしょう。

 

自分の目標に向けてのブレのない考えがあって、それに向かって進んでいく過程でも、もちろんさまざまな壁にぶつかることでしょう。

しかし、自分が考えてやったことは、多少の困難でも、その壁を打ち破ることができるはずです。

 

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